年末調整手続きの電子化について

これまでの年末調整手続は、
①従業員保険会社等から控除証明書等を書面で受領
②従業員が、保険料控除申告書又は住宅ローン控除申告書に、①で受領した書面に記載された内容を転記の上、控除額を計算し記入
③従業員が保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書など、年末調整の際に作成する各種申告書を作成し、控除証明書等とともに勤務先に提出
④勤務先が提出された年末調整申告書に記載された控除額の検算、控除証明書等の確認を行った上で、年税額を計算
 という流れで進められていました。

年末調整手続が電子化された場合は、次のような手順となります。
①従業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領
②従業員が、国税庁ホームページ等からダウンロードした年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに、住所・氏名等の基礎項目を入力し、①で受領した電子データをインポートして年末調整申告書の電子データを作成
③従業員が、②の年末調整申告書データ及び①の控除証明書等データを勤務先に提供
④勤務先が、③で提供された電子データを給与システム等にインポートして年税額を計算

年末調整手続を電子化することにより、以下のようなメリットがあります。

≪従業員のメリット≫
従業員は、年末調整申告書の記入や控除額の計算などを省略でき、年末調整申告書の作成を簡素化できます。
また、書面で提供を受けた控除証明書等を紛失した場合は、保険会社等に対し、再発行を依頼しなければなりませんでしたが、その手間も不要となります。
※ 従業員が、「マイナポータル連携」を利用する場合には、複数の控除証明書等を一度の処理で取得することができますので、従業員の利便性がより高まります。

≪勤務先のメリット≫
勤務先は、従業員が年調ソフトで作成した年末調整申告書データを利用することにより、控除額の検算が不要となります。
また、控除証明書等データを利用した場合、添付書類等の確認に要する事務が削減されます。
さらに、従業員が年末調整申告書作成用のソフトウェアを利用して控除申告書を作成するため、記載誤り等が減少し、従業員への問合せ事務も減少することが期待されます。
加えて、書面による年末調整の場合の書類保管コストも削減することができます。

※ 年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)とは、年末調整申告書について、従業員が控除証明書等データを活用して簡便に作成し、勤務先に提出する電子データ又は書面を作成する機能を持つ、国税庁が無償で提供するソフトウェアです。

参考:国税庁ホームページ

年末調整手続の電子化に向けた取組について

年末調整控除申告書作成用ソフトウェア

インボイス制度における立替金の取扱いについて

10月から始まったインボイス制度下では、一定の事項が記載された帳簿と適格請求書等の保存が、仕入税額控除の適用を受けるための要件になりますが、ここで経費を立替払いしてもらう場合の請求書等の保存が問題となります。
経費の支払先(請求書発行者)から立替払いをした会社宛に交付された適格請求書をそのまま受領したとしても、これをもって請求書発行者から交付された適格請求書とすることはできません。
取引先が資産の譲渡や役務の提供を受けた場合、本来その対価は直接その取引先が支払うものです。
そのため、本来取引先が負担すべき対価を立替払いした際には、その取引を立替払いとして他の取引と明確に区分していれば、その立替払いは課税仕入れに該当しないし、立替金額の受取りも課税対象とはなりません。
ただし、立替金額に仲介料を上乗せして代金を受け取る場合は、単なる立替えとは異なるので、その全額が課税の対象となります。

そこで、インボイス制度が本格的に始まった場合の対応として、インボイス制度における立替払いの適格請求書に関しては、立替えを受けた側は、立替払いされた適格請求書と、立替払いを行った側が発行した「立替金精算書」といった、立替経費が立替えを受けた側の課税仕入れであることを証明する内容の書類を保存することで適格請求書の保存要件を満たすことになります。

そのため、立替払いした際に受け取った適格請求書と立替払いした側が作成した立替金精算書等を一緒に取引先に交付するといった対応となります。
そうすれば、取引先はその立替えを受けた経費について仕入税額控除ができます。
しかし、立替払いした際に受け取った領収書などが適格請求書でなければ、立替金精算書等を発行した事業者が適格請求書の発行事業者だったとしても、立替えを受けた側は仕入税額控除できないことになります。

逆に、立替金精算書等を交付した事業者が免税事業者でも、立替払いの領収書などが適格請求書であれば、立替えを受ける側は仕入税額控除できます。
つまり、その立替払いした領収書などが適格請求書かどうかで判断するということになります。
ちなみに、立替えを受ける側が消費税の計算方法として簡易課税制度やインボイス制度の2割特例を採用している場合や、免税事業者だった場合にはそもそも適格請求書の保存は不要となります。

8月末は個人事業税の納付期限日です

個人事業税は、所得税や住民税とは別に個人事業主が納める税金で、個人が営む事業のうち、地方税法等で定められた事業に対してかかるものです。

この地方税法等で定められた事業には、不動産貸付業や駐車場業、飲食店業など、様々な種類がありますが、事業と呼ばれるものはほとんど該当します。

確定申告をされていれば、地方税なので、都道府県税事務所から通常は8月に納税通知書が郵送されてきます。

個人事業税の納付期限日は、原則8月末日と11月末日で、8月に送付される納税通知書に、第一期分(8月分)と第二期分(11月分)の納付書が入っています。

また、個人事業税の申告については、前年の1月1日から12月31日の事業の所得などを、事務所等の都道府県税事務所や道府県知事に、3月15日までに申告しなければならないことになっています。

しかし、所得税の確定申告や住民税の申告をしている場合、申告書の「事業税に関する事項」の欄に必要事項を記入していれば、その確定申告や住民税の申告の数字をもとに計算されますので、別途、個人事業税の申告をする必要はありません。

事業税の計算方法は事業の種類によっては異なる場合もありますが、基本的には、前年の1月1日から12月31日の事業所得や不動産所得といった事業に該当する所得が計算の対象になります。

その該当する所得に、個人事業主で事業専従者に給与を支払っている場合は、その支払った金額を加算します。

家族に支払っている分はいったん経費から除外後に、その個人事業主が確定申告で青色申告をしていた場合は青色事業専従者の給与の全額、白色申告をしていた場合は配偶者の場合86万円を、その他の場合は1人50万円を減算します。

そして、青色申告をしている場合に控除していた青色申告特別控除額は個人事業税には適用はないので加算します。この後に、地方税法に規定する各種控除を行って、それに税率をかけて税額を算出するという流れとなります。

ちなみに、適用される税率は業種によって分かれていて、基本的な税率として、5%、4%、3%の三種類がありますが、物品販売業・飲食店業・デザイン業など、ほとんどの業種が5%になります。

各種控除は、損失の繰越控除、被災事業用資産の損失の繰越控除、譲渡損失の控除と、事業を行う個人の全てに対して適用される事業主控除があります。

事業主控除は、1年間営業していれば一律で290万円控除されます。

営業期間が1年未満の場合は月割りして控除を受けることになります。

個人事業主が納める税金には、経費にできるものとできないものがありますが、個人事業税は経費になりますので『租税公課』で仕訳してください。